第164号   愛命園だより「あゆみ」   平成26年7月


安心をあなたに

園長 林 弘子

「職員朝礼が終わったようです。それでは園長お願いします。」
「大きな台風が近づいています。テレビなどで聞いて、皆さん不安だと思いますが、皆さんのことは職員が守ります。だから、安心して下さい。」

 今まで経験したことのない大型台風の情報が刻々と伝わってきた日の利用者朝礼です。私たちは利用している方々の生命、財産を守る責務があります。最接近が予測される日の前日には、物品の搬送班は医薬品を最優先にして、公用車に避難物品を能率的に積み込む予行演習もしましたが、進路がずれてホッとしました。
 先人の方々の大変なご尽力により、一つ屋根の下で、安心して暮らせるおうちを作っていただいて早や41年が過ぎました。18才で盲学校の重複学級を卒業して入所された方は59才になられます。行き場がなくて心ならずも病院などで生活し、愛命園ができたので入ってこられた方々は既に70才前後です。
 年を重ねると人は皆どこかに障りが出てきます。愛命園の利用者も例外ではありません。いくら食事に気を付けていても、決して不摂生な生活をしているわけではなくても、年齢相応の体の不調は出てくるものです。
 今、愛命園はまさにそのまっただ中にいます。

今まで普通に食事をされていた方が、ある日突然食べ物を詰まらせるということが起こります。
「えっ、あの人が!?」「このおかずで!?」これまで考えられなかったことが次々に起こり、食事形態の変更がひっきりなしです。看護師宅への深夜のオンコールも今ではそう稀なことではなくなりました。看護師は、その内容によっては、内科の嘱託医の指示を仰ぎます。ドクターは電話で指示され、必要があれば早朝、深夜、休日を問わず駆けつけて下さいます。3人の夜勤者は、朝まで気が抜けないこともあります。とりわけ老化が早いといわれている方たちが、ここには大勢おられます。
そういう実態をふまえて、昨年度週11時間だった理学療法士によるリハビリも週19時間に増やしました。早出、遅出の勤務者数や出勤時間も必要性に応じて柔軟に対応していかなければなりません。きのう必要でなかったことが、今日から必要になるのです。
1月号の「あゆみ」の前川会長の言葉にもあるように、私たちはこの状況下で、この人たちを守りながらどう進んでゆくのがベストなのか、関係各位のご意見を賜りながら、方向性を見出していきたいと思います。どうぞ、ご支援いただきますようよろしくお願いいたします。



グループ外出

生活支援員 松田 耕作
 利用者さんが楽しみにされているグループ外出を7班に分かれて実施しました。

 1班・3班は、カルビー広島工場へ見学に行きました。カルビーの工場見学は大人気で、2班に分かれて行くことになりました。工場内では、かっぱえびせんの出来る工程を見学し、出来たてを試食させて頂きました。利用者さんは、「温かいね、美味しいね」と言いってパクパクと食べておられました。帰り際には、お土産を頂き、みなさん大喜びで帰路につきました。
 2班の可べの湯では、カラオケとショッピングを楽しみました。昼食では好きな物を食べ、お酒を飲み、大変に楽しまれた様子でした。利用者さんからは「満足!満足!」と言う声を聞くことができました。
 4班のゆ〜ぽっぽでは、演劇鑑賞をしました。時間の関係で、歌謡ショーが観られず、利用者さんには大変ご迷惑をおかけしました。みなさん、思い思いの食事を摂られ、楽しい時間を過ごされていました。
 5班は、マツダzoom-zoomスタジアムへ野球観戦に行きました。雨が心配されましたが、当日はさわやかな天気で絶好の観戦日和でした。ラジオを片手に試合の流れに一喜一憂される方、野球そっちのけで、食べたり、飲んだりされている方、それぞれが自分なりの楽しみ方で球場を満喫されていた様子でした。
 6班は、毎年恒例のサンリブに行きました。ショッピングでは腕時計や服などを購入、食事も、みなさん好きな物を食べられ、楽しまれた様子でした。
 7班は、ゆめタウン広島に行きました。店内は、大変に広く何でもあり、食事をする所もたくさんありましたので、みなさん自分の好きな物を買うことができたようです。ある利用者さんは、おもちゃの電車を購入し、目を輝かして喜んでおられました。

 今年度のグループ外出も、事故無く終えることができました。来年度も利用者さんの思い出に残る楽しいグループ外出を提供できるようにしたいと思います。


家族会より

愛命園家族会 宮本 進
 私の義弟小山幸隆が愛命園に入所して早10年になります。また、義母(幸隆の母)が入院して約5年経ちます。5月の休みにその病院へ面会に連れて行きましたところ、彼はその見えぬ目に涙を流しておりました。普段は園で楽しく過ごしているようですが、実家に帰ればいつもいるはずの母親と接する機会も少なくなり、寂しかったのでしょう。
 昔と比べると随分と感情表現も豊かになってきており、ここまで支えて下さった皆様のおかげと思い今日に至ります。
 重複障害児とその家族も高齢化が進んできておりますが、暖かい支援に心から感謝しております。



第1支援活動報告

生活支援員 山根 一洋
今年は梅雨明けが例年より遅く夏の行事への影響が心配されましたが、7月は無事2つの行事を終えました。

七夕 
 利用者のみなさんのそれぞれの願いを短冊に込めて笹に飾りました。家族への思い、健康の事、外出や園でのイベントへの期待など、様々な願い事が短冊に綴られました。私たち職員も、一つでも多くの願いを叶えられるよう日々努力していかなければと、改めて感じました。
 
そうめん流し
 当日は、雨が降ったり、止んだりと天候に恵まれませんでしたが、外でテントを張り無事行う事が出来ました。竹から流れてくるそうめんをみなさん喜んで食べておられました。雨の影響でジメジメとした暑さを忘れさせる時間を過ごせました。そうめんはみんな大好きです。



森田 基寛さんを偲ぶ

生活支援員 神村 恒彦
 平成26年5月22日。後3ヶ月で66歳の誕生日を迎えられるはずだった森田基寛さんが御浄土に旅立たれました。
 愛命園には18年と5ヶ月在籍され、入所当初は活発に歩いておられ、誰からも好かれ、場が和やかになる存在だったと伺いました。しかし体力低下や疾病により、晩年の約4年はベッド上の生活を余儀なくされました。その間看護師をはじめ多くの職員の協力を得て、懸命に生きようとされる姿を見ることができました。ご家族や職員が声をかけると、返事はできないものの声のする方に振り向かれ、何か感じるものがあるのかなと皆で話しました。
 言葉や身振りで自ら要望を訴えることができず、私には彼にとって満足・充分な支援を提供することができたか自信はありません。ですが、出勤した時は「おはよう。」勤務が終わると「帰るよ。明日また来るよ。体の調子はどう。」と自然に挨拶する気持ちになれたのは何故でしょう。やすらかな最後でした。
 園での最後のお別れには、多くの利用者さんや職員に見送られました。悲しいことですが天寿を全うされたのだと信じたい気持ちで一杯です。
 合掌。



木漏れ日
〜リレー随想
レモンの砂糖漬けの思い出

生活支援員 森野 香菜子
 ジメジメとした梅雨が終わり、夏本番となってきました。ビアガーデンや地域の夏祭り、花火大会など楽しみが多い時期ではないでしょうか?私は大好物のスイカをたくさん食べることが何よりの楽しみです。
 そんな色気よりも食い気!な私でも中学生の時に初めて経験した夏バテだけには勝てませんでした。炎天下での部活動が体に堪えたのか全く食欲が湧かず、食事に一切手を付けられなくなりました。食事の代わりにスイカを口に詰め込むのが精一杯となりその状態が1週間ほど続いたある日の夕食で「出された食事くらいちゃんと食べなさい!」と母から叱られ、その時になってようやく仕事で疲れてから食事を作る母の気持ちを考えて深く反省しました。
 叱られた翌朝、私が謝るより先に母が「今日からこれを食べてみて。レモンの砂糖漬けを作ってみたから」とレモンの輪切りがたくさん入ったタッパを差し出して部活へと送り出してくれました。レモンは苦手な味だと思っていましたが、食べてみると砂糖で甘みが加えられほど良い酸っぱさで食べやすく、とてもおいしくて驚きました。部活動の合間や自宅で少しずつレモンの砂糖漬けを食べている内に食事が食べられるようになり、食欲もすっかり元通り旺盛になりました。
 あの時の「母さんはすごいな!ありがとう!」という気持ちは今でも忘れられず、毎年夏が来るたびにレモンの砂糖漬けのことを思い出します。今年2月に48歳の誕生日を迎えた母、もちろん元気ですが、女手ひとつで育てて貰った分、たくさん親孝行しなくてはと思いつつ何もできていない状態です。とりあえず今年も暑さに気をつけて、お盆の帰省には元気に広島土産を持って帰省したいと思います。



【寄せられた善意】
[平成26年4月26日〜平成26年7月25日]
(順不同・敬称略)

《現  金》
浅野 一男   青原 清美
前川 昭夫   森井旅館
藤正 坂二   大成 敏正
中谷 制子   笑遊会
田中 初枝   谷川 隆子
中野 富貴子
川端歯科 川端 康司


《現  物》
たけのこ     伊藤 真紀子
お茶       則末 信夫
洗剤、そうめん、油
       谷川 隆子
開園記念・花   富士産業株式会社
         野上 好子
開園記念・菓子  前川 昭夫
         大成 敏正
         松田 耕作
カット綿     政岡薬店
ホイールカバー  河普@雄太
夏祭り用ビール  村本 晃一
野菜       田中 フミコ
バナナ      村本 久子
鮎        水内川の鮎を愛命園に贈る会



鮎いただきました

サービス管理責任者 煖エ 義彰
 7月20日、“水内川の鮎を愛命園に贈る会”より、今年もたくさんの鮎をいただきました。毎年、地元の参加者さんが、水内川の鮎を釣り上げて下さいます。「今年はあまり多くない」とのお話でしたが、それでも40匹を超える釣果で、かたちのよい鮎ばかりでした。
当日は利用者2名が代表して受け取り、愛命園で鮎めしにして頂きました。
「うまい、うまい!」と利用者のみなさんも大喜び!地元の皆様のこうしたお心遣いに感謝の思いです。ごちそうさまでした。ありがとうございました。   


《清掃奉仕》
湯来地区民生委員・児童委員協議会
 7月22日、湯来地区の民生委員・児童委員協議会の皆さんによる清掃奉仕がありました。梅雨も明け、真夏の日差しが降り注ぐ中、本当にありがとうございました。


《朗読奉仕》
どんぐり会


《読み聞かせボランティア》
新庄 久美子     西山 洋子


※ いつも暖かいご支援ありがとうございます。諸般の事情で掲載を控えさせていただく場合もあります。


人の動き
《退  職》
6月30日付
生活支援員  徳島 友明


《就  職》
6月23日付
非常勤生活支援員  南原 裕美子
          藤本 マヤ



※ 平成25年度決算報告につきましては、
愛命園ホームページに掲載しております。
URL http://www.aimeien.jp



【編集後記】
 今年の梅雨は梅雨らしい梅雨でした。週間天気予報はずっと雨。これほど続くとさすがにうんざりしてきます。台風接近の数日前には、こちらでもかなりの雨が降りました。台風自体はコースが逸れてほとんど影響はありませんでしたが、あの雨の後に勢力を保ったままの台風が直撃していたらどうなったか。そのようなこともあり、早く梅雨が明けることを祈る日々でした。
 で、実際に明けてみるとどうなるかといいますと、…もう暑さにうんざりです。梅雨明け宣言が出て以降、朝から強烈な日差しが降り注ぎ、日中の気温は上昇、夕方になってもいっこうに涼しくならず、といった日々が続いております。
早くもあの涼しかった日々を懐かしく感じている今日この頃です。さすがにあんな大雨は勘弁ですが。 (HY)